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December 23, 2011

山下達郎 / Ray of Hope

 2011年発表の作品。元々は、別タイトルで前年秋に発売される予定だったが、延期になり1年近く遅れてリリースされた。そのためか、本作に収録された作品のうち5曲が既にシングルとしてリリースされている。これはちょっと異例な作品であるかと思う。これらシングルはテレビ主題歌や映画主題歌と言ったタイアップ曲だった、ということもあり、本作を一通り聴いた印象は「これベストアルバム?」という錯覚であった。
最近の達郎氏の作品は、ご本人も認める通りテレビドラマ主題歌をメインとしたタイアップが非常に多い。言い換えれば、気持ちよく流して聴けるタイプのアルバム、という感じかと思う。その一方、既に達郎氏のシングルを買ってるよ、という人には、ちょっともったいない感のある作品、とも言えるかも知れない。

具体的には、「街物語」「ずっと一緒さ」「愛してるって言えなくたって」の3曲がテレビドラマ主題歌、他2曲が映画主題歌、他テレビ番組のエンディングテーマなど、という内容。
どうも達郎氏の主題曲と言うとバラードが多いので、バラード満載の作品と言うことができるが、もう少しアップテンポなものも多く入っていれば良かったな、と私は思った。

さて収録されている計14曲 (「希望という名の光」のPrelude, Postludeを含む)の中で一番驚いたことは、達郎氏がProToolを使い始めたことである。
達郎氏と言えば、「ポケットミュージック」で初めてコンピュータ(PC-8801)を導入してものすごく評判になったが、今回は今をときめくProToolである。このソフトを一躍有名にしたのは、元々は音程矯正用に作られたモジュールであるAuto-Tuneである。使いようによってはヴォコーダの様な効果が得られることから、Cherが初めてヴォーカルエフェクトとして使い始め、当時話題になったものだ。日本ではPerfumeのあの声で有名である。

ちょっと説明が長くなったが、本作では達郎氏がAuto-Tuneに挑戦。「俺の空」で、わずかにケロケロボイスを聴くことができる。ただし、当然ではあるが音程矯正のためではなく、細かい節回しの部分に少し垣間見えると言う感じ。通常のヴォーカル部分では聴こえない、ということはAuto-Tuneが達郎氏のヴォーカルを矯正する場所がなかった、ということになるのだろうか。

もう1点、ヴォーカルで気付いたことがある。それは、最近の達郎氏のシングルを聴くも分かるのだが、ヴォーカルに対するエコーなどのエフェクトがかなり弱められているような気がするのだ。(もちろん前述の「俺の空」は別。)
それでもちゃんと聴ける、ということはやはり達郎氏の歌唱力が素晴らしいと言うことになるのだと思う。

私は、本作は達郎氏のヴォーカルをじっくりと落ち着いて聴くことができる作品と思っていて、そういう意味では素晴らしい作品だと思う。このレビューでは初回限定盤についていた「JOY1.5」というライブテイク集のことは詳しく書かないけれど、ここでのエネルギッシュな達郎氏とのバランスがまたよろしい。(詳しく書かないのは、ちょっと長くなってしまうからです。これは間違いなく必聴ものです!)

今更ながらの感もあるが、やはり通常盤よりは初回限定盤を入手して両方聴くといいと思う。

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November 23, 2011

土岐麻子 / WEEKEND SHUFFLE

 2006年発表のミニアルバム。ミニアルバムと言うこともあり、収録曲8曲のカバー集。

YMOの「君に胸キュン。」に始まり、山下達郎の「土曜日の恋人」、SUGAR BABEの「DOWNTOWN」、と言った80年代の日本ポップスの名曲、Maroon 5の「Sunday Morning」やEW&F「September」など、選曲もアレンジもまさに土岐麻子ワールドとなっていて、胸がキュンキュンする。何て落ち着くヴォーカルなんだろうと、感動すら覚える。

ちょっと意表をつかれたのは、ケツメイシの「夏の思い出」。ジャパニーズ・レゲエ&ヒップホップの名曲がジャズアレンジメントで聴ける。もちろんラップ部分はインストで、土岐さんがラップを披露してくれるわけではないのだが(苦笑)、このあまりに意外な選曲とアレンジには驚くことうけあい。

でも結局一番いいのは、「Sunday Morning」だろうか。アルバムの最後を飾るこの曲は、かなり原曲に近いアレンジながら土岐さんのヴォーカルにしっくり来ていて、もっと彼女の歌を聴きたい!と強く思わせるアルバムのエンディングとなっている。

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November 15, 2011

Chris Rea / New Light Through Old Window

 1988年発表のChris Reaのベストアルバム。新曲Let's Danceを含め、全曲新録・新アレンジという構成になっている。アルバムタイトルから、なるほどそう言う意味かと頷くコンセプトではある。

この新アレンジと言うのが若干曲者で、曲に対する新たな楽しみがある一方、その曲を聞いていた頃を回想したい場合、アレンジが大きく変わると「あれっ?」と言うことになりかねない。本作品では、Chris Reaのヒット曲では一番一般の人に愛された(はずの) On The Beachが、原曲とは似ても似つかないアレンジで収録されている。
原曲は、全体を覆う幻想的なムードとChris Rea独特のしわがれ低音ヴォイスが渋いことこの上なかったが、本作のバージョンは8ビートのアップテンポと来ている。拍子抜けとは正にこのことで、正直とてもがっかりしたものだ。ところが、曲がいいからなのか、聴き込んで行くと結構良かったりするから不思議。ただ、昔を思い出そうとするときには使えないかな、と言うのが正直な感想。ドライブ感はあるんだけど。

それ以外の聴きどころは、彼のクリスマスソングで、もともとは日本限定発売のSnowというミニアルバムに収録されていた Driving Home For Christmas が本作に収められていることだろう。この曲はタイトルを見てお分かりの通り、クリスマスに自宅で楽しみに待っている家族を想いながら車を走らせる、といった内容で、私のベスト・クリスマスソングの一つである。曲調も非常に季節感溢れるもので、これからの年末にかけてオススメである。

それ以外の曲は、そこそこオリジナルのアレンジに近いものであり、名曲 Steel Riverでの、彼の代名詞ともいえるブルージーなスライドギターも堪能できて、アルバム全体としては、まあ納得のいくベストアルバムと言えるのではないだろうか。

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October 12, 2011

ZZ Top / Greatest Hits

 1992年発表のZZ Topのベストアルバム。1972年リリースのデビューアルバム"ZZ Top First Album"から1990年の"Recycler"まで、19年間で10枚(少ない!!)のオリジナルアルバムからピックアップされている。ZZ Topでしか演奏できない独特のブギー・ロックンロールを心ゆくまで堪能することができる。

典型は冒頭の"Gimme All Your Lovin'"から"Sharp Dressed Man"の流れだ。シンプルに8ビートを刻み続けるFrank Beardのドラムス、同じくシンプルなベースラインを弾き続けるDusty Hill、そして基本はシンプルながらも時々派手に決めるBilly Gibbonsのギター。これだけシンプルでドライブ感たっぷりのかっこいいロックンロールを演奏できるバンドはそういない。ZZ Top初期の名作"Tush"にしてもしかりだ。あたかもアメリカのフリーウェイ(しかもテキサスあたりの)をすっ飛ばしながら聴くには最高の演奏だと言える。こういう乾いたアメリカン・ロックのサウンドを聴いてると、バンドやりたくなるなあ、という爽快なサウンドが続く。

収録された18曲のうち、1973年のアルバム"Tres Hombres"からのものが1曲、1975年の"Fandango"から1曲、1979年の"Degüello"から2曲、1981年の"El Loco"から2曲、1983年の"Eliminator"から4曲、1985年の"Afterburner"から3曲、1990年の"Recycler"から3曲、新曲が2曲という構成で、やや後期作品に片寄りすぎている嫌いがあるが、彼らの歴史を考えるとしかたのない構成ではないかと思う。

新曲のうち"Viva Las Vegas"は本アルバムの中でもZZ Topらしさの出た佳曲で、1980年代半ばから多用し始めたシンセサイザも彼ららしく、なかなかカッコイイ。また彼らにとって一番の大ヒットと言える(またフロントの2人がギターやベースをクルクル回しながら演奏するミュージックビデオでも笑わせてくれた)"Legs"は、Eliminatorに収録されたオリジナルバージョンではなく、今までリリースされたことのなかったダンスバージョン。彼ららしいドライブ感にやや欠けるバージョンではあるが、ZZ Topのようなロックバンドの曲でもこんなバージョンが作られた、というおまけとして聴く分には良いかも知れない。

あと、バタくさい、「ヤンキー娘」と言う言葉がピッタリのアメリカン・ガールズ達があちらこちらに写っているアルバムジャケットも、彼らならでは。
まあそれにしてもアルバムジャケットもZZ Topらしい。

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August 28, 2011

山下達郎 / 僕の中の少年

 1988年発表の作品で、山下達郎の数多いアルバムの中でも内省的な作品が多いといわれている。
また、本作品当たりから、CMやテレビ番組主題歌などとのタイアップ曲が多くなってきている、というのも特徴的である。
「踊ろよ、フィッシュ」「マーマレード・グッドバイ」「The Girl In White」(これは確か、後にこの曲をカバーする黒人のコーラスグループ、14カラットゴールドがCM出演していた)がCM曲、「ゲット・バック・イン・ラブ」はTBSのドラマの主題歌(「海岸物語」)としてヒットした。

アルバム全体の構成としては、キャッチーなサウンドと重めのサウンドが非常にいいバランスを取っているというのが第一印象。アルバムの前半はどちらかというと前者、後半は後者、という流れになっている。後半の重めの展開(具体的には6曲目以降、「ルミネッセンス」〜「蒼氓(そうぼう)」「僕の中の少年」)は、山下達郎の今までの作品にはなかった、非常にコンセプチュアルなもので、「夏と言えば山下達郎」のような、1980年代前半当たりのイケイケ状態からの決別みたいなものを感じた。特に「蒼氓(そうぼう)」は、あちこちで名曲との呼び声が非常に高く、ライブにおいても10分くらいの大作になるらしい。

本作は、それ以降にリリースされた彼の作品のベースとなるようなものだと言える。そう言う意味では、山下達郎の音楽活動の歴史では絶対に外せない一作であり、名作なのである。

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August 16, 2011

Garth Brooks / Ropin' The Wind

 1991年に発表された、Garth Brooksの大ヒットアルバム。私にとってGarth Brooks初体験となったアルバムでもある。
彼の前作"No Fences"が全米で1000万枚売上という大ヒットを記録した頃は、単なるポップなカントリーアーティストが何でこんなに唐突に売れちゃったんだろうと思っていた程度だったので、特に聴こうという強い思いはなかった。しかし、本作も発売直後から全米アルバムチャートでNo.1にずっと居座っていたので、これは何かあるなと言う事で気になり始め購入したのだ。(今思えば、この動きはノロいね...)

すると、冒頭の"Against The Grain"のイントロ、バンジョーとフィドルが頭っから全開でびっくり。中には少し湿っぽいポップバラードもあるが、"We Bury THe Hatchet"や"Rodeo"などと言った曲は、カントリーミュージックがしっかりとベースになっていてとても気に入った。

本作で1つの驚きは、Billy Joelの"Shameless"のカバー。この曲はBilly Joelのアルバム、"Storm Front"に収められていた曲であるが、Garth Brooksバージョンが大ヒットしたおかげで、全米のラジオ曲ではシングルカットされてなかったBilly Joelのオリジナルバージョンが売れる、という珍現象まで引き起こした。
Garth Brooksの過去のインタビューによれば、この曲がBilly Joelによってシングルカットされなかったことを知った彼がBilly Joelのマネージメントに頼み込み、了承を得た上でシングルカットが行われたというエピソードがあるらしい。私としては、Billy JoelバージョンよりGarth Brooksバージョンの方が印象に残る曲になっている。

そのほかにもポップ感もあるが基本はカントリーだぞ!という曲が多く収録されている本作、結果的に前作を上回る1300万枚のセールスを記録したらしい。90年代のカントリーミュージックのブームのきっかけとなった名作の一つであることには間違いない。この流れは21世紀に入り、ロック的な要素もどんどん吸収しながら独特なアメリカのポピュラーミュージックになってきている。そう言う意味では彼の貢献度は非常に高い。最近はあまり表に出てくる事がなく、半ば隠居生活みたいな感じとの話もあるが、頑張って欲しいものだ。

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August 14, 2011

Loverboy / Classics

 1994年に発表された、もっとも商業的に成功したと言われるカナダのロックバンド、Loerboyのベストアルバム。

Loverboyが本格的に知られるようになったのは、やはり1982年のWorking For The Weekendのスマッシュヒット(ビルボード誌HOT100で29位まで上昇)であった。印象的なカウベルのイントロ、週末のために働くんだ!っていう歌詞が若者の共感を得たのだ。もちろん、日本でもLoverboyの人気はリードヴォーカルのMike Renoのカッコ良い(ちとバタ臭いけど)ルックス、そしてWorking For The Weekendの邦題が「それいけ!ウィークエンド」という、今思えば何ともダサ系なタイトルで人気を博したものだ。

とはいってもLoverboyというか、Mike Renoが一躍日本中に知られることになったのは映画Footlooseのラブテーマ、Almost Paradiseの大ヒットである、と言っても良いだろう。説明するまでもないと思うが、この曲はHeartのAnn Wilsonとのデュエット曲。Loverboyは知らなくてもこの曲を知っている方も多いと思う。ちょっと湿っぽいバラードは日本人向けで、確かに今でも人気曲だったりする。

しかし、カナダ出身の彼らの持ち味は軽快なロックンロールなのである。前述Almost Paradiseの成功にシメシメと思ったのか、彼らは結構バラード曲のヒット曲が多い(This Could Be The Nightなんかなかなか素直によろしい)が、やっぱり「カン、カン、カン、ドン!」で始まるWorking For The Weekendが最高。笑えるけど大好きなのはLovin' Every Minute Of It。もろDef Leppardしてます。イントロだけ聴いたら間違えるでしょう。

Loverboyはどちらかと言えばシングル向きの曲を多く発表したのでこう言ったベストアルバム物を聴くのが正しいような気がする。一通りの曲が押さえられているので、結構お得なアルバムかも知れない。

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July 10, 2011

Dr. John / In A Sentimental Mood

 Dr. Johnによる、ジャズスタンダードばかりを取り上げたアルバムで、1989年の作品。
この雰囲気をもったアルバムは、彼にとって"City Lights" (1978年)、"Tango Palace" (1979年)以来久し振りである。タイトルから想像がつくかもしれないが、彼らしいニューオリンズR&Bやファンクという趣のまったくない(笑)、典型的なジャズスタンダード集ということができる。プロデュースはTommy LiPuma。

本作品のハイライトと言えば、やはり冒頭の"Makin' Whoopee!"で、Rickie Lee Jonesとのデュエット。私が初めて本作品を聴いたのは、高崎にある某ロック喫茶 (今では死語?) だったのだが、LP盤のA面 (これも死語か...) にマスターが針を落とした瞬間に流れたドラムスとホーンセクションによるイントロ、その後に始まる2人の息のぴったり合ったムーディーなヴォーカルに背筋がぞくっとしたものだ。この作品で確か2人はグラミー賞を取ったと記憶している。

他にもしっとりとしたヴォーカルとピアノソロを聴かせるバラード、"Candy" "My Buddy"をはじめ、ちょっと大げさかもしれないが、見事なピアノ(独特の「ころがるような」ピアノソロ)を聴かせてくれるタイトル曲"In A Sentimental Mood"(もちろんあのDuke Ellingtonの曲)、Cole Porterの曲 " Love for Sale"などなど、お見事と言う他ない。Dr. Johnにしか出せない、あの枯れたヴォーカルと見事としか言いようがないピアノプレイが40分間にわたって、全く飽きる事なく堪能できる。
Dr. John好きにも、おしゃれなジャズヴォーカル好きにも、ポピュラー音楽好きにも薦められる作品である。

なお参加しているアーティストは、Harvey Mason、Jeff Porcaro (ドラムス)、Marcus Miller (ベース)、Hugh McCracken (ギター)など。ストリングとホーンアレンジメントにはMarty Paichと、超豪華。

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June 19, 2011

カサリンチュ / SUNNY DAY STYLE

 奄美大島笠利町出身の2人組ユニット、カサリンチュの2009年発表の作品。
地元の方々を除いて、カサリンチュを知ってる人の多くの人が、そのきっかけとしてiTunes Storeの「今週のシングル」で「ファンキーコウウンキ」が紹介されたことだとだと思うが、ご多聞に漏れず私もその1人である。アコースティックなサウンドに被るヒューマンビートボックスと言う、一見アンマッチな組み合わせが逆に新鮮でとても印象に残っていた。本作品は、この「ファンキーコウウンキ」も収録され、もともとは奄美大島限定で発売されたものが、大好評のため翌年に全国発売となったというミニアルバムである。

1曲目の「僕の部屋」が本当にいい。目をつむると、涼し気なそよ風がなびく奄美の風景が浮かんで来る。この感覚は滅多に経験したことがない。これ以外の曲も全て、リゾートでゆったりしているような、そんな心地良さ。どうして暖かい地方出身の人は暖かそうな音楽を体現できるのか…。私の長年の素朴な疑問が改めて湧き上がって来る。
これ以外の5曲についても、爽やかなもの、ポップなもの、レゲエなものなど、幅広くていずれもリラックスした気分にさせてくれる。個人的には、アルバムの最後を飾る「Yan ~ 小さい頃の僕へ」が好み。

暑くなったら街の喧噪を忘れ、Jack JohnsonでもiPodに入れて街を飛び出したいなあ、って言うような人たちには絶対お勧めの作品。騙されたと思ってでも聴くべし。

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June 11, 2011

矢沢永吉 / THE GREAT OF ALL - Special Version -

 1993年発売の矢沢永吉ベスト。もともとは1980年ころに発表された "THE GREAT OF ALL" という初期のベスト (12曲収録) に4曲追加したスペシャルバージョンという位置づけである。

矢沢永吉のベストは、もう訳が判らなくなるくらい沢山発売されているが、本作は70年代中盤から後半あたりの、キャロル解散後ソロに転向した初期の曲から選ばれている。永ちゃんが「時間よ止まれ」の大ヒット以降80年代に多少売れ線ロックに走ってしまう前の、暴走族や不良達に慕われていたと言われている時期の作品、ということになる。

もちろん、基本は「黒く塗りつぶせ」や「世話が焼けるぜ」に代表される、70年代の不良たちが好んで聴いてた(と言う印象のある)正統派ロックンロールな訳だが、本作を聴くと案外とそれだけではないことが分かる。

「雨のハイウェイ」はカントリーを思わせるペダルスティールが大活躍しているし(ちなみに商業的に一番成功した「時間よ止まれ」のバックにもペダルスティールが使われている。)、「ライフ・イズ・ヴェイン」「ウイスキー・コーク」のようにポップさすら感じる曲調の作品もある。「ライフ・イズ・ヴェイン」は、事故で死んだバイク好きの仲間 (ついリーゼントの暴走族をイメージしてしまうのだが) を悼むような内容で、軽く泣けます。
それから、かなりリラックスしたジャジーでめっちゃかっこいい「バーボン人生」と言う曲もある。

そして、この頃の永ちゃんで出色なのはバラード。「チャイナタウン」や「長い旅」のような、心にジーンと来る名曲は、絶対に押さえておくべし。特に、タイトルで想像がつく、横浜を舞台にした前者は名曲中の名曲。

ロックンロールもバラードもここまで完璧にかっこ良く歌い切ってしまう日本のヴォーカリストは、やっぱり永ちゃんをおいて他にはいないということを改めて認識させてくれる、そんな作品である。もしかしたら、日本の音楽のジャンルには、唯一無二の「YAZAWA」というジャンルがあるのではないか、とさえ思わせる。

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April 09, 2011

杉山清貴&オメガトライブ / SINGLE'S HISTORY

 杉山清貴&オメガトライブの、デビュー曲からのヒット曲を収録した、1985年発表のベストアルバム。収録曲は10曲。
杉山清貴をメインに据えたオメガトライブの活動期間は1983-1985年頃なので、その間の発表曲集ということになる。
このメンバーでのシングル曲は、意外に少なくわずか7曲で、そのうち最後のシングルになった「ガラスのPALM TREE」は収録されていないのが残念だが、リリース時期から考えたら仕方のないところだろう。内訳としては、シングルA面の作品が6曲、B面の作品が4曲という構成になる。

ともかく、収録曲は10曲と言うことで、懐かしがって聴きたい向きには時間的にも長過ぎす短過ぎず、ちょうどいい作品だと思う。当然のことながら、アルバムジャケットも「いかにも」と言う感じの「夏のリゾート地の夕暮れ」的な風景で、これまたよろしい。

ベストアルバムなので個々の作品について詳細の説明は省略するが、私のような、バブル真っ只中に日本のヒット曲を聴き込んだ人間にとっては、全ての曲が思い出そのもの。改めて聴き直すと少し気恥ずかしくなるシチュエーションがあったりするが、それも思い出。個人的に大好きなのは「ふたりの夏物語」と「JOANNA」の2曲。「ふたりの夏物語」は、いうまでもなく彼らの最大のヒット作で、「JOANNA」は「RIVERSIDE HOTEL」(ちなみに井上陽水の大ヒット曲とは別曲です)のB面に収められた曲で、「隠れた名曲」と言われている。
特に「JOANNA」での「海沿いのビストロ」とか「ロゼ色のベランダに10月のシルエット」「薄手のラムのセーター」などのフレーズはくすぐられます。雰囲気いいですよね。うんうん。

ただし、本作はいわゆる「復刻版」的な作品の様で、最新で新品として販売されているものでもオリジナルのマスタリングのままになっている模様。それがいいと言う人もいるといると思うのでここで批判的なコメントはしないが、音質的にもオリジナルに忠実=現代からしたら今ひとつ、と感じる人は多いかもしれない。気になる方はここだけ注意が必要。

本作の選曲は、単純ではあるが曲の順番などは結構考えられている。(リリース順ではない)
多分、一つの物語として本作を聴き通すことができると思う。
このわずか4~50分のアルバムを聴いただけですぐさま2~30年前にタイムスリップできるのはすごい。一通り聴き込んだんだら、次はカルロス・トシキを聴き込もうかなという気分になってしまう。当然か。

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January 23, 2011

Jane Moheit / Home

 寒くなってくると、不思議と街中の音楽はスタンダードとジャズで溢れ始める。例えばジャズの本場ニューヨークのようなところであれば当然、でもここ東京でも同様。

ここ最近のコンテンポラリージャズ界の話題は、特にチャート関はほぼMichael Bubleが占めていて若干食傷気味。あまり独占状況は良くない。
と考えていた矢先、Jane Monheitの新作が発表されたと言うことで、聞いて見ることとした。(2010年作品)

本作品で一番印象的だったのは、やはりJane Monheitのヴォーカルの魅力だ。力が入ってなく、本当に艶があっていい。特に全体的なリラックス感がとても心地よい。アルバムタイトルの Home さながらのリラックス感と言っていいだろう。

John Pizzarelli とのデュエット曲である Tonight You Belong To Me は、バックの演奏がほとんど全面に出て来ず、デュエットの良さを堪能できる。しかも2人のヴォーカルもさり気ない、軽いタッチ。リスナーに語りかける様な感じである。またソロでも、ピアノ中心のバラード(特に I'll Be Around) や トリオ+トランペットソロの構成で歌われる The Eagle In Me あたりが個人的に気に入っている。

聴き終えた後の爽快感もあり、若手女性ジャズヴォーカリストによる作品としては、本年一番ではないかと思われる出来となっている。

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December 23, 2010

George Benson & Al Jarreau / Givin' It Up

 2006年に発表された、コンテンポラリージャズ界の巨人2名によるコラボレーションアルバム。

2名とも、ヴォーカルの個性が非常に強く、この個性のぶつかり合いが本作での聴き所となると思っていた。しかし、意外にもお互いの個性はできるだけ抑えながらと言う印象が強い。これは、やはりGeorge Bensonが、本職であるイバニーズのセミアコギターにある程度専念しているからだと思う。
(特に、90年代以降、George Bensonは一時期のヴォーカリスト兼ギタリスト的な立場から、ギターに専念してきているような気がするけれど、ここではやはりヴォーカリストであるAl Jarreauに敬意を表した、というところだろうか。

冒頭の2曲、 "Breezin'" と "Mornin'" は、それぞれGeorge, Alの代表曲の1つと言えるもの。私の一番好きな曲でもある。
"Breezin'" の原曲はGeorge Bensonの有名なインスト、"Mornin'" はAl Jarreauのヴォーカル曲だが、いずれもGeorge BensonのセミアコとAl Jarreauのスキャットのコンビネーションがとても心地よい。また、Seals & Croftのヒット曲で、Isley Brrothersがカバーしたことでも知られる "Summer Breeze" 、John Legendの "Ordinary People" など、選曲のセンスも個人的にニヤッとさせられるものが多い。"Ordinary People" は、原曲と比べてとてもさっぱり仕上がっている。

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December 04, 2010

Dan Fogelberg / Windows And Walls

 "Windows and Walls"はDan Fogelbergの1985年作品である。前作"The Innocent Age"が大ヒットした後の作品ということもあり、相当なプレッシャーだったと思うが、地味ながらも前作レベルに近い作品になっていると思う。

まずはシングルカットもされた"The Language of Love"から幕を開ける。彼らしいキャッチーな作品。ちょっとポップ過ぎるかなと言う嫌いがあるが。
(余談だが、この曲のリフが、Rolling Stonesの"Start Me Up"っぽいところも聴き所。)次のアルバムタイトル曲"Windows and Walls"、"The Loving Cup"、"Tucson, Arizona (Gazette)"は、地味だが彼らしいアコースティックギターをしっかりメインに置いたいい曲。特に、"Tucson, Arizona (Gazette)" は8分を超える大作で、どちらかと言えばたんたんと語られる物語と言う感じの曲であるが、決して飽きさせず、メロディ的にもドラマティックな仕上りとなった名曲である。

後半に入ると、"Let Her Go"のようなロック調の曲があったりもするが、彼らしい必殺バラード、"Sweet Magnolia"、"Believe in Me"と言ったところが最大の聴き所。そして最後は、前作"The Innocent Age"でいうところの"Ghost"のようなタイプの"Gone Too Far"で締めくくる。

最初に書いたとおり、本作は地味ではあるが、味わい深い佳曲揃いのいい作品である。ただでさえ過小評価されているDan Fogelbergの作品の中でも、最も過小評価されているアルバムと思っている。

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November 21, 2010

EMI MARIA / Contrast

 Contrastは、2010年発表のEmi Mariaのデビューアルバム。本作以前にもインディーズから作品を発表していた彼女だったが、本作がメジャーでの初作品となる。
私にとって初Emi Maria体験は、2〜3年ほど前に発表された"I Gotta - Summer Kiss"と言う曲。こんなヴォーカルのできる女性がメジャーデビューしてないなんて、日本の音楽業界が節穴なのか、あるいは層が厚いのか、どっちなんだろう、と思ったことを覚えている。
そんなわけで、元々歌唱力、特にヴォーカルの伸びには定評があるが、本作でもその魅力は十分に堪能できる。特に低めの声が魅力的。

全体的には、最近流行のR&Bを基調とした音作り。この系統の作品は日本の最近のミュージックシーンではいくらでも聴けるけど、私の中ではEmi Mariaのヴォーカルはダントツでしっくりくる。キンキン声ではないからだろうか。ややあっさり感があるのが個人的にはもう少しと言う感じではあるけれど、まだお若いわけだしだんだんと貫禄がついてくると信じたい。そうしたらもっともっといいシンガーになれると思う。

そろそろ「今年の10枚」を選ぶ時期になってきたが、本作品は当然候補に入れようと思っている。

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«10/1/2010: Ned Doheny @ Billboard Live Tokyo

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